花は香り 人は何?
砂漠の国
「見てメイナ!
これが砂漠なのね。」
目の前には全く水分の感じられない荒れた大地が広がっていた。
「姫さま、そんなに身を乗り出しては危ないですよ。」
そう気だるげに言いながら、メイナが私の横に並ぶ。
「姫じゃなくて、カティって呼んで。」
視線は砂漠を見たまま小言で言った。
「申し訳ありません。
それにしても何だか想像と違います。
砂漠ってもっと砂っぽい物かと。」
「そうね。」
目の前の砂漠は、瓦礫の欠片で出来ているようで、馬車は車輪をカラカラと言わせながら進んでいる。
馬車と言っても、引いているのは馬ではないし、後ろもまるで荷馬車のような物だ。
見渡す限り褐色の大地は果てしなく続いているようだった。