花は香り 人は何?
「早く城に着かないかなあ。」
そうつぶやくとメイナがぷっとふきだした。
「何よ。」
「今のかわいいなあと思いまして。
その方が親しみやすいです。」
そう言うメイナは、気分が悪いせいか少し無理しているようだったが、どことなくほっとしているようだった。
私も疲れて少し気が抜けていたのだろう。
城から離れて、姫としての私じゃなくて、放浪しているときの私が出てきたと言うのもあるだろうが。
「そう?
じゃあ、これからはこっちにしようかな。
メイナも敬語はずしてね。
改めまして、よろしく、メイナ。」
「こっちこそ、よろしく、カ…カティ。」
「もうすぐ城に着きまーす。」
そう言った御者の言葉に、身を引き締める。
不思議とさっきまでぼ不安や悩みはなくなっている気がした。