ラブソングをもう一度
「俺はね、これで歩美に、きちんとさよならができたんだ」
机の上に置いた、灰の入ったマグカップを一瞥する。
それはまるで、もう用は終えた、とでも言っているかのようだった。
「情けない俺は、今までずっと、歩美と別れたことと向き合えなかったんだ」
その場にしゃがみ込んで、俯く。
「かっこわるいだろ、俺」
そろり、そろりと、音を立てずに、レイが俺の前に立つ。
そして、そのまましゃがみ、俺と同じ目線になる。
そっと腕を伸ばし、おれを抱きしめた。
「どんな海でも、かっこいいよ」
とたんに、暖かいものが、心の中に溢れ出た。
幸せの意味を、少し理解した気がした。