ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
「あの…」


言いにくそうな声が我に返す。

振り返ると、一人の看護婦が立っていた。


「絹江さん…先日お亡くなりになられたんです」


それを聞いて一気に力が抜け落ちる。

同時にあることが浮かんできた。


「あの…!結平は!?…お孫さんは」

「お孫さんは絹江さんの手を最後まで握られて…」

「……」

「絹江さん、最後まで笑っておられましたよ」


そう言って、看護婦が微笑んだ。


「…そうですか」


あたしは静かに答えた。
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