ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
その日の夕方、外に出ようと玄関に向かうと結平に出くわした。

久しぶりに結平の顔を見た気がした。


「……」


慌てて目をそらす。

その場から逃げようと、玄関のドアノブに手をかけた。


「…毎晩、どこ行ってんの?」


いつもと違う低い声。

あたしは背中を向けたまま答えた。


「…結平には関係ないじゃん」

「バイトも来てないみたいだけど」

「バイト…辞めたから」

「なんで?…オレのせい?」

「受験があるからだよ。何勘違いしてんの…調子にのらないで」


それからまた無言の時間が続く。

結平の視線が痛い。
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