「キカイ」の子
「健一さん…」






夏美は冬彦の肩越しに、病室の入り口に立っている健一を見た。







冬彦は彼女の言葉に続いて、振り返った。








健一は冬彦達の様子をしばらく眺めた後、満足そうに笑い、穏やかな声で二人に話し掛けた。






「やぁ…夏美ちゃん。元気になったようだね。やっぱり…高椿君が一番の特効薬だったみたいだね。」








冬彦と夏美は、健一の言葉を聞くと、恥ずかしそうな顔でお互いを見た。








「二人の仲を引き裂くのは、心苦しいんだけどね…夏美ちゃんの回診の時間だから…高椿君は外に出てもらえるかな?」






「あ、はい。」





冬彦はそう言って、素早く椅子から立ち上がった。







夏美は、まだ冬彦と話していたいようで、名残惜しいといった感じの表情を浮かべた。








それに気づいた冬彦は、屈みこんで夏美に話し掛けた。









「…また…明日にでも来るから…待ってて。」







「…うん。」





夏美はまだ納得できかねていた。
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