「キカイ」の子
その言葉を聞いた冬彦はやっと顔を上げて、透を見た。






「遊ぶって…透、僕達、今、受験生なんだよ?」
「聞きたくないっ!」





受験生という言葉を冬彦が言い終わる前に、透は耳を手で塞いだ。






そんな透の様子をちょっと見た後、冬彦はまた問題に集中し始めた。





しばらくの沈黙があった。





この沈黙で冬彦が折れてくれるかと期待した透だったが、どうにも冬彦が折れそうにないので、仕方なく透はまた話し始めた。





「おい~フユピコ~、頼むよ~一緒に遊ぼうぜ?」

「無理だよ。」

「受験、受験って…今の時期から考えなくてもいいだろ~?特にフユピコは頭が良いんだしさぁ…」


「今の時期って、もう梅雨入りしてるんだよ?透。」




冬彦はそう言って、窓の外を見た。


曇った空に、湿った風、今にも降り出しそうな空だった。



冬彦は、窓の外から透へと目を移した。





こっちも雨が降り出しそうだった。
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