暴風うさぎ



高校生なら夜遊びぐらいするし大騒ぎする時間でもない。

でも引っ越しの前日に、しかも台風の中いなくなったのなら宇佐美のお父さんがクラスメイトに連絡してもおかしくはない。

しかも心配なんて一切かけない宇佐美なら尚更。



『成見なら宇佐美さんの居場所分かるかなって思ってさ』

『………』


もう連絡先さえ知らない俺が?
引っ越す事も、まともな会話すらしてない俺が?



『………後でまた連絡する』

俺はそう言って電話を切った。


とりあえず近くにあったパーカーを羽織り、携帯だけ持って部屋を飛び出した。


『あ、あんたやっと起きたの?晩ごはん取っておいてあるけど』

仕事から帰ってきていたおふくろが台所で洗い物をしていた。


『ちょっと出掛けてくる』

『え、出掛けるって台風上陸してるのよ?雨風も強いしどこに………』


『ちょっと、ね』


俺はおふくろの制止を無視して外に出た。


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