悪い女-悪あがき-

「うん。本当、茜ちゃんは、」



クク、と笑った廉はあたしの髪を指先で掬う。



優しくて、傷付いたような目。


ドクッと胸の奥が疼いた。



「…かっこわり」



深く、傷ついて、それなのに何かを飲み込むように廉が笑う。


あたしは無意識に伸びそうになった指先を空で切って、沸き上がる何かに押されそうで、それを堪えるように廉から視線を逸らせた。



あたしはどうしてこんなにも廉を突き放すのか─────



その理由だけが浮かばずに馬鹿みたいに触れない指先を見つめていた。



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