悪い女-悪あがき-
「…っ!やめてよ」
廉を押せば、至近距離に絡んだ視線、廉の濡れた唇が言い様のない色気を放っていて、フッと目を細める仕草に、胸が疼いた。
「俺って、欲求不満♪」
軽い口調で、笑う廉。
人の気なんか知らないで。
「お相手は沢山いるでしょ、満たして来なさいよ」
「無理」
廉があたしの唇の端を舐めた。
頭に廉の言葉が過ぎる。振り払えない、その言葉が。
『つまり、』
「茜ちゃんしかイラナイ」
あの日に戻ったと錯覚しそうな位、廉はあの時と同じ軽い口調で、あの余裕のある笑顔で、またその言葉を呟いた。