図書館>>>異世界
「俺は、朝暘だからな」
「チョウヨウ?」
「あぁ。朝の陽と書いて、朝暘だ。
俺の名だ」
どうやらいきなりの自己紹介だったらしい。
「あー、似合うね!うん。朝暘かー。
私はね、夜。
『明けない夜は無い。だから、不安や辛さに打ち克つように』
それが私の名前だ。
いい名でしょ?」
両親がつけてくれた名前は、私の自慢なのだ。
「あぁ…。いい名だな」
『こちらの方角らしいです!』
『誰か居ますかー!?』
結構近くで、多分…五、六人くらいが叫ぶ声がした。
和やかな雰囲気がぶち壊しである。
「ちっ、見つかったら不味いな…!」
「え、不味いの?」
「俺は、な。―――迎えに行く。待ってろよ」
「――はっ!?」
なんで?なにが?誰が誰を迎えに?
訳がわからない私を残して、彼は去った。
―――チュッ
頬にキスを残して。
「次に会ったらぶん殴る…!」
嬉しくも何とも無かった。