図書館>>>異世界



★sideアレン


と言うわけで。
俺が看ているからとルークを部屋から追い出して。


「おい」


「……、やっぱり?」


黒髪は不敵な笑みを口元に浮かべて目を開けた。やっぱり寝たふりだったか。

ますます警戒する俺に、黒髪は苦笑した。


「天音も海翔も、ロクに休んでなかったでしょ?」


二人を気遣ってか、小さな声で問いかけてきた黒髪。

あぁ、そうか。
分かっていたんだ最初から。
姫も騎士も、どんな行動をするのかくらい。

そして、休ませる為に芝居までして。

全ては二人の為だろう。


付き合いの長さと、三人の関係性が垣間見れて、少し親近感がわいた。


二人が黒髪を大切に思っていて、ちゃんと黒髪もそれをわかっている。

黒髪も二人が大切で、二人もわかっている。



「悪いねえ騙したみたいで。
改めて紹介します。私は夜。どーぞヨルと呼んで」


「…宰相のアレンだ。アレンでいい」


「じゃあ、アレンね。………あれ?」


不思議そうな顔で、瞳を見つめられた。
……またか。この瞳のせいで俺は随分嫌な思いをしてきた。

この世界で忌み嫌われる色が、赤い瞳だ。

夜明けが尊いとされるこの国において、夕闇を連想させる赤は、最も忌まれるのだ。


「すごい………見たことないなあ、こんな綺麗な色。
宝石みたいだね、アレンの瞳って。

海に沈む夕陽の色だ…」



素直な称賛に拍子抜けした。あまりにも素直に裏の無い言葉で、苦笑いが浮かんだ程だ。


「この世界じゃあ赤い瞳は忌まれる色なんだけど。
実際に俺、この色のせいで両親が不仲だし」


「うわあ勿体無い!両親は固定観念に囚われすぎだねー。少しそんなもん…


壊してしまえばいい」


「アンタ無茶苦茶だなオイ」


なんつー人間だよコイツ。まるで常識が無い。いや、異世界人だからなのか?ヨルだからな気がするけど…
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