図書館>>>異世界
★sideアレン
そーっとベッドを抜け出したヨルは、改めて俺の目の前に立った。
「私は賢者かどうかなんてわからない。だからこの国の専門家に一任するとして…ただ、宙ぶらりんな今の身分じゃあ正直動きにくい。
アレン。私に何か出来ること、ある?」
俺はまだヨルを信用は出来ていない。けれど、立場を理解し、その上で問うてくるヨルには、なるほど。なかなかやるな。と思う。
騎士と姫がいるこの国で、不穏な動きはしないだろう。それは多分、絶対だ。
俺の勘は当たる。
あのシズ=レイでさえも認めたのだから。
「…、今は特に無いな」
「うん。…だろうと思った」
期待はしていなかっただろうが、少し残念そうではあった。
「見つけたら、検討する。
今は、どこか行きたいところがあるか?」
するとヨルはパッと明るい雰囲気になった。あるのだろう。
しかし面白い女だ。
表情は変わらないのに、雰囲気が変わる。
表情はまぁ…無表情なのだが。