図書館>>>異世界



「……反射神経はいいようだな」

「そりゃあどうも!いきなり切りつけるなんて最低だねアンタ」

「仕方無い。お前が異世界から来たのならば、『騎士』か『魔女』だろう。
最悪の場合、『賢者』の可能性もある。
それならば早々に芽を摘むのが国の為だ―――!」


言い終わると同時に剣が振るわれる。ヤバい。こっちは丸腰だっつの!


「丸腰の一般人に切りつけるとか、本当サイテー!最悪だよフードの人!」


「ふっ、『一般人』ならば、な―――」


何とか避けるものの、ヤバい。終わりが見えない。

このまま避け続けるのは困難。つか、無理!


すると、どこからともなく…


「―――うわっ!?」


フードの人に何かがぶつかった。
体勢を崩した男は倒れこんだ。


今だ!


「てやっ!」


手から離れた男の剣を、私は思い切り蹴飛ばし、河に沈めた。

ボチャンといい音が鳴った。


「クルルー」


「……腹の虫?」


「俺じゃねーぞ」


あ、違うんだ。
倒れた拍子にとれたのだろう。
フードが無くなっていた。

「あ、可愛ー。何その生き物」


「俺は無視かコンニャロー」


男の側には、四十センチくらいの白い生き物が此方を見ていた。


「なにこれ可愛い!目パッチリ!あ、紅い目だー。
羽も生えてて、まるで龍みたい(笑)」


「いや、龍だろそれ」


「……え?」

「だから、龍だって。つーか俺は無視なのか?
俺の顔を見たやつは、大抵言い寄ってくるんだが」
< 8 / 59 >

この作品をシェア

pagetop