雪割草
 シローは寄り添うように寝ていた美枝子の体を揺すった。

「美枝子!美枝子起きな。チュンサンが集会所で酒盛り始めるとさ」

「うーん……」

 美枝子は眠り足りないのか、寝返りを打つように体をよじらせた。

 集会所といっても公衆トイレの横に砂場があり、その周りに空き箱をいくつか並べただけの簡易的なものだった。

シローと美枝子が集会所に着くと、もう既に七・八人は集まって酒盛りを始めていた。
砂場の所では焚き火が焚かれ、皆それぞれ芋などを焼きながら、それをつまみに焼酎を呑んでいた。

「シローさん!こっち、こっち!」

 手招きするチュンサンに誘導され、空き箱に座らされると、

「さっ、グイッといきな!」

 少し欠けたグラスになみなみと注がれた焼酎を、シローは一気に飲み干した。

「ほれ、美枝子さんも一杯やりな!」

 斜め前に座っていたニシヤンも美枝子に酒を勧めてきた。

「ありがとう……」

 美枝子はためらいながらもグラスを受け取った。


 其処へ新宿中央公園の長老イタジイがやって来た。


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