雪割草
 警官はロープをほどき、遺体を露わにすると、

「おい、田中!ちょっと来い!」

 若い警官を呼んだ。

「どうしました?」

 すぐに若い方の警官も駆け寄ると、美枝子の死体に驚いた様子で、

「お前ら、これはどうしたんだ!」

 シローと上田を同時に睨んだ。

二人共体が硬直してしまい、言い訳する声も出てこなかった。

年配の警官は胸ポケットから手帳を出すと、何やら書き留めるようにして……。

「田中!署に電話しろ!

それから、鑑識の方にも連絡を入れておけ!」

「はい!」

 慌てて携帯電話を取り出し喋り始めた。

そして、受話器を口元から遠ざけ、

「リヤカーはどうしますか?」

 年配の警官の指示をあおいだ。

「レッカー車でも呼べ!」

 少し怒鳴るような口調で言うと、シローと上田の腕を掴み、


ガシャ!

「警察署まで来てもらうぞ!」

 二人を並べて手錠をかけた。

シローも今度こそはおしまいだと思い、観念したように目を瞑った。

手首に絡みつく手錠がやたらと重く感じた。

絶対絶命だった!

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