雪割草
 それでも、シローには想いがあった。

二人の足元に泣き崩れながら、

「美枝子を……。

美枝子を田舎へ……。

俺達のふるさとに連れて帰りたいんだ!

そして……。

そして……。最後に……。

美枝子に、夕日を見せてあげたいんだ……。」

 そう、哀願していた。

 ニシヤン達には、思いもよらない計画だった。

「おまえ……。」

 自分達の耳を疑っていた。

「どうやって福島まで行くんだ?

電車か?

それは無理だろう……。

タクシー……。

そんな金、一体どうするんだ?」

 シローは跪いたまま、リヤカーと美枝子をじっと見つめた。

ニシヤンは息を呑み込んだ。

「まさか……。おまえ!」

< 81 / 208 >

この作品をシェア

pagetop