君がいれば・・・①
「あ、あの……わたし　好きな人がいるんです　その人と付き合っていて　葉山部長とはお付き合いできません」



はーっ　言い切った！



「瀬奈ちゃん？失礼だけど……付き合っている人は結婚を考えているのかな？」



「え……」



結婚……そんな事は考えてもみなかった……。


シンは韓国人で有名なスターでわたしは……。


シンが結婚を考えるわけはないか。


シンならどんな女性でも選べるもんね。


そう考えて瀬奈は涙が出そうになった。



「ご、ごめん　瀬奈ちゃん　泣かせるつもりはなかったんだ　その彼との結婚が考えられないのなら俺との事を考えて欲しいんだ」



優しくハンカチを差し出されて瀬奈は涙を拭いた。



「と、とにかく……葉山部長とお付き合いだなんて考えられないので……すみません」



瀬奈は立ち上がるとバッグを持って、その場から逃げるようにして出口に向かった。



「瀬奈ちゃん！」



葉山が呼んでも瀬奈は立ち止まらなかった。



頭が混乱していた。


早く１人になりたい。


シンの声が聞きたいよ……。


< 212 / 430 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop