君がいれば・・・①
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「シン、手伝ってって言ったのに……」



縁側みたいな所に座らされただけで何もしていない。



薪を置いて斧を振り上げるたびにシンの腕の筋肉が動く。



斧だけでも相当重いんだろうな……。



「見ててって言ったつもりだったんだけど?」



「手伝ってって言った」



「そうだったかな?でもセナには無理だよ」



斧さえも持ち上げられないだろう。



足をぶらぶらさせているセナを見て微笑む。



「こっちへ来ちゃダメだよ? 木の破片が飛ぶかもしれないから」



それがセナを傷つける所を想像するとぞっとする。



「ん……」



ちょっと不満げな瀬奈。



次から次へとシンは薪を割っていく。



瀬奈はしばらく静かにシンが薪を割るのを見ていた。




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