君がいれば・・・①
シンプルなベージュのシャツワンピースを着て髪の毛を後ろで一つに結んだ。



6時少し前にホテルのラウンジに行くと、ソファーに座っていたジフンが瀬奈の姿を見て立ち上がった。



「セナちゃん、忙しい所、ありがとう」



「ジフンさん……」



ジフンの顔に緊張が見られた。



それもそのはず、ジフンは祖父に頼まれてここにいるのだから。



「俺は君たちの味方なんだけど……おじい様にどうしてもと言われてね」



ジフンが瀬奈をエレベーターに促す。



「おじい様……?」



「ああ……おじい様が君にお願いがあると」



そのお願いをシンが知ったら怒り狂うだろう。



「シンは知っているんですか……?」



瞳に不安の色を見せている。



「いや……知らない……ここにいることも知らないよ」



怯えたウサギのような彼女が可哀想になった。



しかし祖父は意思を伝える為に忙しい中、日本まで来た。



2人を乗せたエレベーターが最上階で止まった。




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