君がいれば・・・①
忙しいんだね。



毎日のようにある電話。



出たい気持ちを堪えて、瀬奈は出なかった。



会いたいよぅ……シン……。



家の中での瀬奈も明るさがなくなった。



和馬はシンに会えないからだろうと思っていた。



まさか別れていたなどとは思っても見なかった。



******



葉山部長からは何度か食事に誘われた。



酔っぱらって送ってもらった翌日に顔を合わせた時は、気まずくて目を合わせられなかった。



そんな瀬奈に葉山は優しく微笑み、「気にしなくて良いよ」と言った。



いっそ葉山部長に寄りかかってしまったら楽になるのかもと頭の中をよぎる。



だが瀬奈の頭の中はシンでいっぱいだった。



シンを忘れようと努力しているのに忘れられない。



シンに関するものを何一つ捨てられないのがその証拠だ。



シンを求めてDVDや写真集、韓国で撮った写真を毎日眺めている。



今日は仕事が休みで瀬奈はリビングでTVを見ていた。



自分の部屋だとすぐにシンの事を考えてしまうから。



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