君がいれば・・・①
「良く来てくれました」



瀬奈は頭を下げただけで何も言わなかった。



車に案内されても瀬奈は一言も口を訊かない。



後部座席に座った瀬奈は窓から外を見ているだけだった。



瀬奈は何を話してよいか分らなかった。



あんな事があり気まずくて車窓を眺めている振りをしていたのだ。



******



「セナさん、着きました」



車は見慣れた駐車場に止まった。



ジフンは運転席から降りて瀬奈の側のドアを開けた。



「お疲れ様でした どうぞ」



ジフンが瀬奈のバッグを持つと瀬奈は手持ち無沙汰になり両手を前で組んだ。



エレベーターに乗るとあっという間にシンの部屋の前に着いた。




ジフンは鍵をポケットから取り出しドアを開けた。



「どうぞ」



促されても足がすくんで動かない。



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