君がいれば・・・①
次から次へと母は話すから電話を切るのもひと苦労だ。



『あ~ ちょっと待って待って、昨日言い忘れちゃったんだけどデパートにシンが行ったのよ~ 瀬奈、残念だわ~ お休みだったからね~ 兄さんも会えなかったって残念がっていたわ』



シンの名前が母から出てドキッとした。



視線がイスに座っているシンに行く。



シンはワイングラスを片手に自分を見ていた。



目と目があって瀬奈の頬がポッと赤く染まる。



ママがシンのファンだとは知らなかった……。



「ママ、切るね」



瀬奈は有無を言わさず携帯電話を切った。



バッグの中へ携帯を入れようとした時シンが近づいてきた。



「まだ大丈夫なんだね?」



「う、うん」



「セナ、アドレスと番号を教えて」



シンがテーブルの上に置いてあった携帯を手にした。




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