裏切りの少年
「現時点では判断できない。
子供の戦い方は接近戦だ。
『空間系』の『障壁』のような能力で『B2M2』を防いだ場合、武器を使う。
だが、子供は素手で戦っていた。
逆に『肉体強化系』の場合………
『B2M2』を防げるか。
映像記録では『B2M2』は直撃した」

「確かに能力は不明だな」

「それほどの能力を持った者が暴れたら、お前はどう思う」

「危険だ」


『B2M2』で傷一つ負わない人間が暴れた場合、止めることはできない。
暗殺専門の隠密部隊が倒せなかったのだ。
軍を使い、子供を倒す………
子供一人、殺すために軍を動かすわけにはいかない。


「これは俺の見解だが、子供は能力を使うと、一種の破壊衝動に陥ると考えられる」

「………原因は」

「不明だ。だが、一度暴れ出したら、敵が消えるまで暴れ続ける。
俺は危険を感じたため、ある程度の記録を取った後、その場を離脱した」

「………少し、考えさせてくれ」

俺は車の窓から外を眺めた。




危険な子供か………
今現在は、子供だ。
自分の力を理解できず、本能のままに戦う。
破壊衝動が収まるまで、敵を殺し続ける。
戦わなければ、子供の破壊衝動を起こさずに済む。
この子供を最初に見つけたのはどこだったか。
それは『『W』三代目総長の拉致』時だ。
つまり、子供は『W』と関係がある。
もし、子供が破壊衝動を克服した場合、能力を自由に使うことが出来る。
そうなれば、『G』は倒すことが出来ない。


世界にとって危険か………
『G』の隠密部隊が10人いれば、町の1つや2つは破壊できるだろう。
それだけの技術と物資がある。
だが、そんな彼らでも倒せないのだ。
子供は国一つを破壊出来るだけの能力を持っている。
議長は子供の危険性を十分に理解しているのだろう。
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