裏切りの少年
「三つ目の条件について話せ」

「特例任務の失敗で戦闘部隊は『G』本部内にいない。
つまり、本部を守る人間は誰もいないってことだ。
お前を議長に紹介する理由なら、一般人のお前でも本部に行けるわけだ」

「………俺が行ってどうなる」

「お前の欲しい情報を議長自身から聞き出す」

「手薄の本部を襲うわけか。
確かに、戦闘部隊のいない『G』本部なら俺達二人でも落とせるだろう。
だが、いいのか。
そんなことをすれば、お前も『G』を追放されるぞ」

「それも知ってのことだ。お前の欲しい『G』の情報は無くなるだろう。
だが、資金源は気にするな。
銀行から引き出せるだけのお金を現金でお前に渡す」

「………本気か」


俺は相棒に聞くと、相棒は頷いた。


「議長にこの話を済ませたのか」

「議長には子供を殺せる『殺し屋』を一人雇うと話した。
お前が子供を殺せば、俺の仲介で議長に紹介する」

「少し、考えさせてくれ」


相棒の出す条件は確かに魅力的だ。
実際、『Infinite Information』の解析も進んでいない現状だ。
解析するよりも議長から直接聞き出す方がはるかに速い。
だが、そのためにはバケモノと戦わないといけない。


「ウルフ。これを見ろ」


相棒が示す方を見ると、メモリーを持っていた。


「この中には広川が解析したデータが入っている。
お前が断れば、この動画を見ることはできなくなる」


「ああ。分かっている。
だが、そうならばお前も困るぞ」


メモリーには広川から解析したデータ―のコピーが入っている。

断れば、メモリーだけでなく、H社に残るデータ―を消去するだろう。


「『履き違えるな。
俺とお前は目的が同じであっても、価値感が違う』
ウルフの言葉には同感だ。
俺もそう思う」

「言葉遊びは止めろ。
俺を怒らせたいのか」

「いいや。
俺の考えを言ったに過ぎない」


条件は悪くない。

バケモノと戦うデメリットは大きいが、それ相当のメリットがある。
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