裏切りの少年
「世界を脅かす『魔王』を倒した勇者は『魔王』以上の『力』がある。
そして、その世界に存在する人々の『共通の敵』が消えたとする。
その後、『勇者』と『住人達』の世界はどうなっただろうか」

「俺は今まで『最終ボス』を探していたが………
攻略とは関係ないのか」

「そう。
『魔王』など、『Infinite Information』内ではどうでもいいことだ。
問題は、『勇者』が『魔王』を倒した後の話だ」

「それが『Infinite Information』か」


俺は金本に聞いた。
金本は頷いた。


「『勇者』は城に向かい、『魔王』を倒しに行ったとする。
様々な敵と戦い、『魔王』との最終決戦をするはずが、『魔王』はすでに死んでいた。
つまり、『勇者』より強い者は世界に存在しないと定義しよう」

「『Infinite Information』の最終ボス戦のことだな」


俺は金本に聞いた。


「その通り。
『勇者』が『魔王』を倒し、人々の『共通の敵』を倒した場合、人々は何をするだろう」


金本は俺に聞いた。
俺はしばらく考えてから答えた。


「戦争か………」

「そうだ。
もし、『勇者』が人々の英雄になれば、戦争の道具にされる。
もし、『勇者』が『魔王』の代わりになれば、『魔王』を倒した意味がない。
もし、『勇者』が姿を消せば、『勇者』なしの戦争をする。
つまり、『勇者』が『魔王』を倒しても、世界は平和にはならない」

「それじゃあ、なんで『勇者』は旅をしたんだ」

「『勇者』が『魔王』を倒してから、人々が戦争をする前に世界を統一させる。
それが『Infinite Information』の攻略法だ」


俺は『最終ボス』のことばかり、考えていた。
その世界のことなど考えもしなかった。


「気付くか、それとも気付かないか。
『勇者』になれる者は優れた観察力と探求力を持ったものだ。
そして、その能力を持つ者が子供達だ。
なぜなら、子供は好奇心で物事を考える。
君が攻略できなかったのは、結果を知っていたためだ」
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