裏切りの少年
「………知ってます。
ゲームをするので………」

「会社を立ち上げて17年。
最初は2人から始まって、今では5000人の従業員がいる。
ゲーム会社では世界で5本の指に入る会社に成長させたんだ」

「そうか」


俺は興味がわかない。


「うちの会社の代表作は5年前に発売された『Infinite Information』だ」


「知らないな。
お前は知ってるか」


俺は相棒に聞いた。


「はい、知ってます。
あのゲームは色々と世間で話題になりましたから………」

「話題か。例えば………」

「ゲームの内容が面白いんです………
それに才能の開花率が他のゲームよりも非常に高い。
ゲームと才能を徹底的に研究された名作だと言われています」

「………詳しいな」


相棒とコンビを組んで100年経つが、初めて相棒が楽しそうに話している姿を見たような気がする。


「でも、最大の話題は未完成作品だったことです」

「未完成………」


名作なのに未完成だということに驚いた。


「ゲーム内容はRPGで、世界の敵を倒すゲームなんです。
ただ、最後のボスがどこにもいないってことで発売1カ月後にE社が会見を開いて謝罪したんです」

「大げさだな。
ゲームなんてPCソフトと同じだろ。
システムのアップロードをすれば解決されるだろ」

「それをしなかったんです。
E社は………」


何か理由があると思い、西条に聞いてみた。


「アンタ、社長だろ。
どうしてアップロードしなかったんだ」


西条は答えない。

俺は銃を西条のこめかみに押し付けてもう一度聞いた。


「わかった。話すから………」


西条は嫌な顔をしながら話し始めた。


「あのゲームはうちの会社が造ったことになっているけど、本当は違うんだ」

「どういうことだ」

「あれは友人が造ったゲームなんだ」
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