裏切りの少年
15. 友人
「友人………」

「そう。
会社を立ち上げた時の友人が造ったゲームなんだ」


俺は本当の話かどうか、相棒に尋ねた。


「お前はそのこと知ってたか」

「いいえ………初耳です」


相棒も知らないらしい。


「その友人が持ってきたゲームを発売したってわけか」

「発売はしたけど、あれは僕の知るゲームじゃない」

「意味が分からないな。
初めから話せ」

「初めから………
どこから話せばいい」

「その友人についてからだ」


西条は目を閉じた。

友人との出会いを思い出しているのだろう。

しばらくして、話し始めた。


「あれは、僕が高校2年次の出来事だ。
その当時は勉強だとか、才能だとかに興味がなく、時間さえあればゲームをしていた。
よく先生にも怒られたよ」


俺は友人の事を話せと言ったのに、自分の思い出を話し始めた。

すぐに止めようとしたが、もう少し聞いてみることにした。


「成績も中の下でね。
まあ、クラスの皆から見ればダメな奴だと思われていたよ。
でも、僕は気にしなかった。
だって、もう一人。
クラスで落ちこぼれがいたからね」

「それが友人か」

「そう。その友人はいつも本を読んでいたんだ。
何が楽しいかは分からないけど、僕としては同類がいて嬉しい限りだった」

「くだらないな」


聞いていて腹が立ってきた。


「ある時、僕は彼と友達になりたいと思ったんだ。
僕には友達がいなくてね。
対戦ゲームをするのはいつもコンピューターだ。
だから、彼に話しかけた」

「それが始まりか」


俺は西条のこめかみに向けたままの銃の照準を胴体に向けた。


「彼は不思議な奴でね。
すぐに興味を示したんだ。
そこで、僕の持っているゲームをいくつか貸したんだ」

「典型的な出会いだな」


俺はある意味で西条を馬鹿にしていた。
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