僕の見つめる世界で。
僕達は、二人掛けの席に腰を
下ろし数分何も話さなかった。
きっと、緊張して。
「……小野くん、今日はありがとうね。動物園なんて行ったことがないから」
その言葉に、僕は深い疑問を
感じたのを覚えている。
きっと家庭に何か事情があるだろうから、僕は何も言わなかった。
「…そうなんだ。動物は何が好き?」
「キリンかなー。可愛いんだもん」
僕の質問に、無邪気に笑顔を
向ける小森に自然と頬が緩んだ。
それから、一時間という時間も二人では短く感じた。
僕達は、電車を降りて動物園の入口でチケットを買った。