僕の見つめる世界で。



「いーの!センセには関係ないでしょう?」


大きな声でより一層室内を
響かせる女の子の声。


「だから、なんで進学しないんだ」


熱くなっている彼女を少し
落ち着かせようと教師は
小声で冷静に取り繕っている。

「あたし、女優になるの!」


彼女の壮大な言葉に教師の
声はなかった。


「でね、二年くらい行方をくらまして皆とはテレビで会うの」

「それは、大学に行きながらでも大丈夫だろう?」


上手く宥めようとする教師の
声に呆れているため息が混じっている。


「それは嫌っ!じゃ、これからバイトだから。ばいばい!センセ」


そう大きな響く声とバタバタとする隣の部屋から彼女は嵐の
ように去っていった。


すると、疲れきっている教師の顔が隣の壁から僕を覗いた。



< 2 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop