手で言葉を 〈貴方に伝えたいことがある〉
「榎本は、これから楽しい雑用があるので印刷室で俺が行くまで待ってろよ」
…雑用って言っちゃってるじゃん。
「じゃあ、そうだなぁ。まだ永島のお母さんと話があるから、永島も榎本といっしょに印刷室で待っててくれるか?」
また永島君の顔を見ながら言ってる。
「…はい」
「よし、んじゃあ榎本、後はよろしくな」
「はぁい…」
あーあ、待ってなきゃいけないのか。
面倒くさい…。
「じゃあ行こっか。えっと…」
なんとなく、まだ名前が呼びづらい。
それに、大体の男子は『君』なんて付けないんだけど、どうしたら…。
「永島…です」
「あ、うん。永島君だよね。ごめんね、名前覚えるの苦手で」