澤木さんのこと。
相変わらずの口の悪さで飛び起きたのは澤木さん。
最初に言っておくけれど、澤木さんはホームレスさんなのだ。
今もベンチでお昼寝してたんだけど。
「あ、起こしちゃいましたか?」
あたしの質問に
「ったり前ぇだろ!あんな大声で叫ばれて起きない奴がいるかよ!!」
頭をガリガリ掻きながらあたしの座っている椅子に近づいてくる。
「んだよ、勉強なら図書館でやれよ」
あたしの叫んだ理由を知って更にあきれた声を出した。
「澤木さんって本当に一日中寝てますよね」
「寝る子は育つって言うだろ?」
「澤木さんって子供だったの?」
「んなわけあるか。俺のどこをどう見たら子供に見えるんだよ。
お前暑さで頭やられただろ」
何でこんな言い方されるんだろうって思うけど。
いちいちここで気にしてなんかいられない。
こんなのは日常茶飯事だから。
澤木さんの口が悪いのはあたしが誰よりも知っている。
それにいいの。
あたしが傍にいたいだけだから。
それで
いいの。
「へー・・懐かしいな」