澤木さんのこと。


相変わらずの口の悪さで飛び起きたのは澤木さん。

最初に言っておくけれど、澤木さんはホームレスさんなのだ。

今もベンチでお昼寝してたんだけど。


「あ、起こしちゃいましたか?」

あたしの質問に

「ったり前ぇだろ!あんな大声で叫ばれて起きない奴がいるかよ!!」


頭をガリガリ掻きながらあたしの座っている椅子に近づいてくる。


「んだよ、勉強なら図書館でやれよ」

あたしの叫んだ理由を知って更にあきれた声を出した。



「澤木さんって本当に一日中寝てますよね」

「寝る子は育つって言うだろ?」

「澤木さんって子供だったの?」

「んなわけあるか。俺のどこをどう見たら子供に見えるんだよ。
お前暑さで頭やられただろ」

何でこんな言い方されるんだろうって思うけど。

いちいちここで気にしてなんかいられない。

こんなのは日常茶飯事だから。



澤木さんの口が悪いのはあたしが誰よりも知っている。

それにいいの。

あたしが傍にいたいだけだから。

それで
いいの。


「へー・・懐かしいな」

< 11 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop