守護まにゅある!
鎖を引くような音がした瞬間、アルの足元が黒く淀んだ。

黒く淀んだ底から出てきたのは、無数の鎖。
海底の海草のようにたゆたうそれらは、どこか不気味だ。

「っげ!! アル、それは反則でしょう!?」

「いえいえ、焔も武器持っているんですから それにガラスを跨ぐなんて僕には出来ません」

そう言い切ったと同時に、鎖は勢い良く焔に襲い掛かった。
四方八方から来るそれは、とてもじゃないが防ぎきれない。

大鎌を振り回して断ち切るが、それらは減らず、むしろ増えていくばかり。

「っ・・・! はぁ、キリ無いわねっ」

肩で息をしながら大鎌を振り下ろす。
少し立ち止まり、周りを確認しようとした瞬間だった。

「隙あり、ですね」

「!! ほむっ・・・!」

オルハの呼びかけに焔が気づいたときには、すでに鎖は後ろから迫ってきていた。

あ、駄目かも・・

己の最期を覚悟して目を閉じ、大鎌を握り締めた瞬間。

鎖が焔に届くその刹那に、誰かが割り込んできた。

目の前が暗くなり何が起こったか分からなかったが、金属が交じり合う音が鼓膜を直撃したので、とりあえず生きているということは分かる。

耳鳴りがする中、感じるのは肩に力強い何か。
そっと目を開けてみるとそこにいたのはオルハだった。

「おまっアルヴィ! コイツが死んだらどうするんだ!」

「大丈夫ですよ 焔なら・・・」

そう言いながら焔に視線をやると、アルは固まった。
なぜなら、未だ焔はオルハの腕の中にいるからで。




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