恋愛遍歴-愛を求めた日々-
茜はそう言って、笑顔でタクシーに乗った。
茜が最後に出来た、感謝の笑顔だった。
康平は、去って行くタクシーを見つめていた。
「茜に出逢えて、本当に良かった。
俺にとって、茜は最高の女だったよ」
そう呟いて、タクシーに乗った康平。
茜は、携帯電話を出し、電話帳から康平の名前を削除した。
『康平…、もう逢えないんだね…。
ごめんね…、康平を愛せなかった…』
茜の心は泣いていた…。
人を愛せない自分は、きっと人を傷つけている。
康平もきっと、その一人だったのだと…。
この時、茜は初めて思った…。
本気で、人を愛したいと…。
全てを捧げてもいいと思えるほど、人を愛したいと…。
康平の存在が、茜を変えたのかも知れない。