桜りっぷ
「いてぇ」

殴られてできた傷痕に沁みる
ジュースを浬は、一気に
飲み干す。

缶をゴミ箱に捨てた浬は
その場に立ち上がる。

そして、前を見つめると
ふらふらな足どりで男が
歩いて来る。

「あのバカ・・・」

駆け寄る浬は、弦の腕を
自分の肩に回す。

「セキ、待ってろって
 言っただろうが・・・」

「お前のピンチにおとなしく
 家で待ってられるかよ

 俺は、お前の女じゃねえ
 つうの」

「当分、女にしてやるよ
 動けるまで、この俺が
 守ってやる」

「バカ言ってろよ」

弦は、浬の殴られた傷口に
指先で触れた。

「いてぇ」

「カイリ、サンキューな」

「おう、帰ろうぜ」
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