【短編】狼彼女とチョコレート
ホント、不器用なんだから。
「…まずは、このチョコレート全部食べないとね。」
「う"…」
「はい、あーん。」
「じ、自分で食える…」
「いいから黙って食べる。」
「……。」
黙々とチョコレートを食べていく会長。
…チョコレートって、一気にこんなに食べていいんだっけ?
そんなことが頭の片隅を通ったが、気にしないでそのまま食べさせる。
「あ。」
チョコ、ついてる。
見ると会長の口の横にチョコレートがついている。
…可愛いなぁ、もう。
「ッ…?!」
「ん?」
ついているチョコレートを指で拭った。
会長が目を見開いて驚く。
「…なに?」
「お、お前な…!」
「食べる?」
「い、いらないって…!」
「ふーん。」
指についたチョコレートを会長に差し出すと、会長は真っ赤になって首を横に振った。