Contrast
春風

春の匂い、桜の風

 私は休み時間が嫌いだ。理由は簡単。私は一人だから。


 活気が溢れかえる教室に、私の居場所はどこにも無くて、ただ、唇を噛み締めて窓を見る。


 ふわり、と窓の外では桜の花びらがダンスを踊る。私は一人、窓際の特別席にてそれを鑑賞することが出来る。勿論、余り嬉しいとは思わない。


 『何事にも慣れる』どこぞの誰かがこう明言したのを聞いたことがあるが、そんなの嘘。私は今も、『一人』に慣れそうにない。


 居場所が無いなら、ここに慣れないのなら、居られる場所を、慣れる場所を探せばいい。


 私はそう考えるほか無かった。


 屋上はダメ。鍵がかかってる。トイレもダメ。やけに汚い。空き教室は先輩たちのたまり場になっているし。


 悶々と考えた後、導き出された答えは


 そうだ、図書室だ。
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