キスしたくなる唇に。
何…これ。



あたし、こんな感覚しらない。


そして今度は頭にあったかくて優しい感覚が乗っかった。


背中には西野の腕。

丁度あたしは西野の首元に頭がついた。



「…お前を好きになれば、この辛いの忘れられるか…?」



頭の上から聞こえてきた少し低めの声は、わずかに震え、思わずあたしも抱きしめ返した。




本当は『協力するよ』なんて言っていい人ぶりたかったのに。


友達としてでもいいから好きになってもらいたかったのに。



結局、どっちにしろあたしは自分の欲に負けた。


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