恋愛妄想
スコール
直美が彼氏と結婚して
その結婚式の二次会に清水君が来るんじゃないかと
あたしはヒヤヒヤしてたけど
動揺しながらも、あたしは普通だった、と思う。

中学の親友ヨーコも結婚して、
あたしは、と言うと
プーでもなくフリーターでもなく、
普通の会社で、派遣から正社員になり
おかーさんから離れ一人暮らし、
ピアスも二つから五つになった。

とりあえず、月日は経ち
あたしは恋愛に程遠く
仕事の中で生きていた。

もう あんな想いは嫌だった。

でも、また恋に落ちてしまう。
そうなったら過去の失敗とかも
また繰り返すんだろう。

恋なんてしない方がいいな、と
あたしは思うようになっていた。


メガネの、背の高い
一見ぼーっとした派遣社員が
同じ部署に配属になり、
そのオドオドしながらも
誠実な仕事ぶりにあたしは少し彼を意識し始めた。

また同じ失敗は嫌だな…
それに同じ職場はなにかとマズい。
気がつくとそんな事を考えるようになった。


「ナオ、高田君の事、好みじゃないの?」
後輩だけど同じ歳のリカが耳打ちする。

「なにそれ」
あたしは一笑に伏す。
「だってさ、結構見てるじゃん」
パソコンにデータを打ち込みながら
電話対応をしながら
まぁ 普通のOLの仕事をしながら
リカとは結構 職場では一番近い存在。

リカは目鼻立ちのハッキリした美人で
合コンに事欠かない。
職場では裏では「合コンゲッター」と呼ばれる。

合コンで知り合った初対面の気に入った子の
携帯番号とアドレスを巧みにゲットし
「今度このメンバー意外で合コンしよ」
と言葉巧みに開拓していく。

周囲はリカを
軽いだの男好きだの言うけど
あたしは知っている。
前の彼氏が暴力男で
ボコボコにされて何度もウチに逃げ込んで来た。
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