後ろの迫田くん


モグモグ。モグモグ。

口の中にあったメロンパンを飲み込むと、


「競技は?」


ちゃんと聞き直した。


「ない。」


一言で片付けられた。

せっかく気の利いた事言えたのに。


「付いていくな。」


たじろーは溜め息付きながら言った。



どこに?


「・・・動物園?」

「違う」

「あいつらにだ。」


あいつら?


「・・・パンダ?」

「違う・・・が、それでいい。もう付いていくな。」



ふむふむ。


パンダ達には付いて行ってはいけないらしい。1つ勉強になったぞ。


「お前は隣に居ればいい。」

「隣?」

「チッ。」


分かんないから聞いたのに舌打ちされちまった。


「俺の隣に居ろ。」

「たじろーの?」


今度は舌打ちされる事なく、たじろーは頷いた。


「うむ。」


あたしが本当に理解しているのか、怪訝な顔をしてるから、


「分かった。」


もう1度頷いた。



そしたらクシャクシャって頭を撫でてくれた。優しい顔をしながら。

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