さくらんぼロリーポップ
……顔さえ見なけりゃ誰でも同じだ。
抜き取ったピンク色のシュシュと自分がかけていた眼鏡を机の上の書類の上に無造作に置いた。
……高原 藍楽。
書類に書かれた9つの×印に赤ペンで囲われた名前が、ブラウスのはだけた胸元に噛み付いた豹の頭に過ぎっていた。
「続きは事が終わってからだ。……明日の放課後」
「ふふ。高梨くんとエッチ出来るなんて、イイ思い出になるわ」
昼休みの終わりを告げる予鈴と共に、制服を整えた女の子は手早くシュシュで髪を斜めに纏めた。
生徒会室の出口からチラッとこちらを窺う視線に豹は目もくれない。
「交換条件は守れよ。破ったら彼氏にバラすからな」
「わかってるわよ。……高梨くんが2回目を絶対に誰ともしないのも」
校内で1、2を争う男前に抱かれれば満足。
そう割り切れる女の子は豹にとって使い勝手が良かった。
体一つで要求に応えてくれるのだ。
何も失わずに目的が遂げられるのだから実に便利だ。