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2. 『決別』の決意

「ミコト………」


私は何をしていいのか分からなかった。
幸い、部下がいないのが救いである。
だが、なぜ突然現れたのかわからない。


「辻本に合わせたい人がいる………」

「アンタ………」

「僕は頼まれたんだ。
伊藤に………
だから、来ないなら来ないでいい」

「そう、それじゃあ伝えといて。
『元気でね』って」

「わかった。
お父さんにも伝えとく………」

「ちょっと待って」

「何………」

「お父さんって誰の………」

「辻本のだよ」

「なんで知っているの」

「辻本のお父さんから聞いた」

「ちょっと待ってよ。
何言っているの。
一度もあんたに会わせたことないじゃない」

「そうだよ。
でも会ったことは何度もある」

「………」

「どうするの。来るの」


『神山ミコト』の言っていることが本当なら、お父さんのいる場所を知っているのだろう。
それに私のことも………


「いいわ。案内して」

「うん………」


『神山ミコト』は歩き始めた。
私は『神山ミコト』の後ろを歩いた。
沈黙が続いたが突然『神山ミコト』が話し始めた。


「目的地に着く前に話さないといけないことがあるんだ」

「何………」

「お父さん、重傷だから………」

「何言っているの」


不安がよぎった。


「この前の事件で僕が辻本のお父さんに重傷を負わせたから………」


「………」


「大丈夫、命に別状はないから………
今のところは………」


私は腰に入れたナイフを一本出し、『神山ミコト』に投げた。
しかし、『神山ミコト』に当たる前に止まってしまった。


「なんで………」


「僕に『能力』も『キャンセラー』も効かないよ。
たぶんこうなると思ったから先に言っといたけどよかった。
それじゃあ、行こう。
ナナミも待っているから」


私はしばらくその場から動けなかった。
何が起きているのか分からなかったからだ。


「早く着なよ。置いてくよ」


「待って」


私は頭の中が真っ白になった状態で『神山ミコト』の後ろを歩いた。
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