たった一つの流れ星
「それは良かったね!お父さんとお母さんのこと見てるって、この窓から?」
佑二は車掌の話を思い出して、聞いた。
「うん、その人のことを考えて、会いたいって思うと窓に映るんだよ!」
少年は得意気に話した。
「お兄ちゃんは何で死んじゃったの?」
少年に急に聞かれ、佑二は少し考えてから、
「事故…だよ」
と言った。
「そっかぁ…お兄ちゃんは大切な人、誰にいつも会いたいって思う?」
亜紀の顔が浮かんできた。
「お兄ちゃんがね、結婚する予定だった人」
「へぇ!お兄ちゃん結婚する予定だったんだ!」
少年が嬉しそうに笑う。子供って可愛いな。今なら亜紀の保育士への気持ちも何となく、分かる。
「やっぱりお兄ちゃんも、ここからその人のこと見守り続ける?」
ああ、さっきの車掌の話か。見守り続けるか、一度だけ夢枕に立つか。
「そうだね、見守り続けるかな」
「だよね、夢の中に会いにいったら、思い出とか全部無くなっちゃうもんね」
そうか、夢枕に立つと生まれ変わるから全ての記憶が消えるのか。佑二は迷わずここから見守り続けることを決めた。
「そうだね、全部無くなっちゃったら寂しいもんね」
「でも僕、いつかお父さんお母さんに会いにいこうと思ってるんだ」
「そうなの?」
「うん、僕に弟か妹が出来たらね!」
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