多重書きの二等辺三角形

別れ。


「ねぇ、純ちゃん。恵美と河野くん喧嘩してるんだって。」


『あぁ、河野から聞いたよ。』


私と純ちゃんは誰もいない放課後の教室で話していた。


「もうダメかもしれないって恵美は言ってた。恵美のあんな辛い顔なんて私見たくないよ。」


『男女間の問題だ。答えは2人にしかわからないよ。どっちにしても2人が出した結論なら俺達も納得してあげようよ。』


「純ちゃん。」


『どうした?』


「私…コワイの。あんなに仲良さそうにしてた2人なのに、今では別れ寸前だなんて。。。」


純ちゃんは何も言わずに私の手を握ってくれた。


「そんなこと…ないよね…?」


『…何が?』


「私達はそんなことないよね?簡単なことで関係が壊れちゃったりしないよね…?」


『あぁ、壊れたりしないよ。絶対に。』


良かった。


その言葉だけで私の心は落ち着くんだ。

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