新撰組の姫君 〜もしもの世界・斎藤一編〜
「一君!奏!何してるの?」

いきなりの大声に猫たちは驚き去っていく。

「…平助か」

犯人はへーちゃん…

「へーちゃんの鬼、悪魔。動物虐待反対。」

「え?何?何事?」

猫が…猫がぁ…

「…平助。謝れ。」

「え?ほんとに何?」

「…お前に驚いて猫が逃げてしまった。」

「猫なんていたの?」

「猫なんてとか…猫に失礼です!!!」

お猫様だよ…

気高く、美しい、お猫様何だよぉ…

「…十六夜は稀に見るほどの猫好き…らしい。」

「あ…それで…。奏、悪かったよ」

「うぅ…ヘーちゃんは猫に恨みでもあったんですか?」

あんなに大声だして…

「いやいやいや、猫に恨みもつほど心狭くないよ?というか、猫がいたことに気がついてなかったし…」

「…十六夜、許してやれ」

「むぅ…一君に免じて…そのかわりもう猫いじめちゃだめだからね?」

「悪かったよ。」

一件落着、ということらしい。

「…で、平助は何の用で此処に来たのだ?」

「いっけね!忘れてた。もう飯だから呼んでこいって!土方さんに言われたんだった!」
「…行くか」

一君の声とともに再び浮く体。

「…少し急ぐぞ。」

その声で私たち、正確には一君とヘーちゃんは、走りだした。
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