砂糖水に溶かした日常


私は走る。ただ、ひたすらに。

『佐奈だって、あいつのこと嫌いでしょう?』

友達の言葉を走りながら胸の内で噛み砕く。粉々になって、私の中から消えてしまえばいい。

子供だ。
そんな、くだらないことを、笑顔で言えるお前らは低脳で浅はかだ。
だけど、曖昧にして笑った私は。

曖昧に。


路地裏に逃げ込んだ私は、焼き付くような胸の熱さを落ち着かせるために息を整えた。


ブレザーの中に隠した秘密を、そっと取り出す。


< 3 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop