いつか、きっと。

本音






――――――不思議と焦りはなかった。





傾き始めた太陽が、道端に落ちた私の影を伸ばす。



それを追うように私は走った。



何を話そう。



何を伝えよう。



そんなことで頭がいっぱいになることもなく、ただ走った。



今は、会いたい。



ただそれだけ。



もう一度、鏡夜と向き合いたい。



ううん、向き合わなきゃ。



お互いがずっと避けていたんだよね。



ずっと言えなかったんだよね。



怖かったの。



またこの手から鏡夜が離れていってしまいそうで。



そう、怖かった。



でも……



鏡夜も同じだったんだね。
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