いつか、きっと。

鏡夜








* * * * * * *






「これとこれと……あっ、上靴もいるよね…」



「――皐月。早くしないと、鏡夜くんが来ちゃうわよ?」



「〜っ分かってるよ!」





開けっ放しにしたドアの向こうに叫ぶ。



あーもうっ。


忙しすぎて訳分かんなくなってきた…




ハァ…とため息をつきながら、真新しいブレザーに腕を通す。



新品の独特の匂いが鼻をつく。







バタバタと朝から慌ただしいこの日。



それは、辛い受験勉強を終え、新しい生活が始まるから。




――そう。



今日は高校の入学式。





「……何かパツパツする」





そうつぶやきながら大きく伸びをしてみる。



腕が伸びると同時に、丈が上がってくる。



キュッとそれを下ろし、鏡の中の私を見つめた。
< 41 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop