同居の秘密。【完】
私の小さな吐息が聞こえたのか、こちらを見つめる。
男の人の黒髪が微かに揺れた。
「東原千春さん。怪しい者ではありません。どうか出てきてください」
優しい笑顔で言う男の人に私は出ざる終えなかった。
ソファーの後ろから慎重に警戒しながら出てきた私に男の人は優しく笑う。
不覚にもドキンとしてしまった。
「あ、あの…誰ですか…」
声が震えてしまう。
優しそうに見えるけど、本当は不審者だったらどうしよう…。
泣きそうな気持ちを必死に押さえていると、男の人は口を開いた。