永久の贄[BL]
きっと俺の不在に騒ぎになりだしている頃だろうけど、知った事ではない。

何処が出口かも分からない森の中をただ前へ前へと進む。

進んでも進んでも景色は変わらない。変わったのは足の痛みが増した事と、

着ていた寝巻の泥汚れが増しただけだろうか。でも俺にはそんな事は関係なかった。

少しでも里から離れられれば良かったから。


「さ、彩十様!?」


どれだけ歩いたかもどれだけの時間が経ったのかも分からない。

背後からの声に思わず振り向いた。でも暗いせいか姿がよく分からない。でもこの声は確かに……。

「哉……? どうした、こんな所で」

「はい、哉です。というか、その言葉。そっくりそのまま彩十様にお返しします」


まだ恐らくは……俺がババ様の所から飛び出した事を彼はまだ知らないだろう。

探しに来たのであれば、もう少し態度が違うような気もするから。
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